分骨

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分骨とは

分骨とは、故人の遺骨を複数の場所に分けて納める供養方法のことで、伝統的な日本の葬送慣習に古くから存在する選択肢です。分骨の起源は仏教伝来期に遡り、釈迦の遺骨(仏舎利)が複数の塔に分けて納められた故事に基づきます。現代では、本山納骨・実家のお墓・配偶者の墓・手元供養など、多様な目的で分骨が行われています。墓地埋葬法上、分骨は明確に認められており、適切な手続きを踏めば法的にも問題ありません。

分骨の主なパターン

分骨の主なパターンは次のとおりです。①本山納骨:故人の信仰宗派の総本山に一部を納骨、信仰心の篤い家族向け。②家族間の分骨:実家のお墓と配偶者の墓に、両家への思いを残す。③遠方の墓へ:故郷の墓と現住地の墓の両方に。④手元供養併用:一部を自宅で供養し、残りをお墓・散骨に。⑤海洋散骨併用:一部を海に、残りをお墓に。⑥アクセサリー型分骨:ペンダント等に少量、残りはお墓に。⑦複数家族での分骨:再婚家族で前配偶者と現配偶者の家系それぞれに。⑧海外への分骨:故人ゆかりの国・場所へ。

分骨の手続きと費用

分骨の手続きと費用は次のとおりです。①火葬時分骨:火葬場で複数の骨壺に分けて収骨、最も簡単。葬儀社に事前相談。②納骨後分骨:すでに納骨されている遺骨を取り出して分骨、墓地管理者・石材店に依頼。③分骨証明書:分骨先で必須、火葬場または墓地管理者が発行、無料〜数百円。④石材店費用:納骨後の取り出しは1〜3万円。⑤本山納骨費用:3〜30万円、宗派と本山により差。⑥分骨用骨壺:1,000〜1万円。⑦法要:分骨時の法要は3〜10万円。⑧総額:火葬時の単純分骨なら数千円、納骨後の分骨は5〜30万円。

分骨を選ぶ際のポイント

分骨を選ぶ際のポイントは次のとおりです。①家族の合意:「遺骨を分けることへの抵抗感」がある親族もいる、早めの相談を。②分骨先の選定:手元・本山・複数のお墓・散骨など、明確な目的を持って。③分骨証明書の保管:再分骨や引越し時に必要、紛失注意。④分骨量:本山納骨は喉仏のみ、手元供養は少量、散骨は半分以上、用途で配分。⑤宗教的配慮:仏教の宗派により「魂は一つ」とする考え方も、住職に相談。⑥分骨後の取り扱い:手元供養品の最終処分、相続人での承継。⑦地域慣習:「分骨は縁起が悪い」という地域もあるが、法的・宗教的には問題ない。⑧費用見積:分骨先と石材店費用を含めた総額把握。

分骨を希望される方の取材を続けて、私は「分骨は家族の多様な思いを受け入れる優しい選択」だと感じています。先日取材したご家族は、長男が東京、次男が大阪、両親の遺骨を半分ずつ分骨され、「お父さんお母さんがいつも近くにいてくれる」と兄弟それぞれの場所で大切にされていました。分骨は「遺骨を分ける」という抵抗感を持つ方もいますが、見方を変えれば「家族みんなが故人と共にある」選択。家族で話し合い、後悔のない選択をしてください。

— お墓さがし.jp 編集長 / 中村 千鶴

✍️ 執筆:中村 千鶴 / お墓さがし.jp 編集長|元新聞社生活文化部記者→ライフエンディング業界専門誌編集デスク

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