エンディングノート

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エンディングノートとは

エンディングノートとは、自分の死後あるいは判断能力低下時に、家族へ伝えたい情報や希望を記しておくノートのことです。終活の中核的なツールで、市販品から手作りまで様々な形式があります。法的拘束力のある「遺言書」とは異なり、自由な内容を柔軟に記せる点が特徴で、財産分与のような法的効力を持つ事項は遺言書、生活情報・医療希望・葬儀の希望はエンディングノートに、と使い分けるのが一般的です。日本では2010年代以降に普及し、コクヨ・楽天など大手企業が市販品を出すようになり、現在では年間数十万部のベストセラーとなっています。

エンディングノートに記す主な内容

エンディングノートに記す主な内容は次のとおりです。①自分の基本情報:氏名・本籍・家族構成・職歴・経歴。②財産情報:預貯金(銀行名・支店名・口座番号)、不動産、有価証券、保険、年金、貸金庫の所在。③借入金・ローン:未払金の状況。④デジタル情報:SNS・メール・サブスクリプションサービス・暗号資産の存在とパスワード(直接書かず保管場所を示す)。⑤医療・介護の希望:延命治療・告知・献体・臓器提供の意思。⑥葬儀の希望:規模・宗教・式場・参列者リスト・葬儀社の希望。⑦お墓の希望:希望のお墓タイプ・場所・予算。⑧遺品の処遇:形見分け・処分の指示。⑨家族・友人の連絡先:訃報を伝えてほしい人のリスト。⑩家族へのメッセージ:感謝・想い・伝えたいこと。

エンディングノートと遺言書の使い分け

エンディングノートと遺言書の使い分けは次のとおりです。①法的拘束力:遺言書は法定形式で書けば法的に強制力あり、エンディングノートは法的効力なし。②記載内容:遺言書は財産分与・相続・認知などに限定、エンディングノートは生活情報・医療希望・思い出など自由。③作成方法:遺言書は自筆遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類、形式に厳格、エンディングノートは市販ノートに自由に記載。④費用:遺言書は公正証書なら数万円〜、エンディングノートは1,000〜3,000円。⑤両方併用:理想は両方を作成、財産関係は遺言書に、生活情報はエンディングノートに。⑥保管:遺言書は法務局保管制度を活用、エンディングノートは家族が見つけられる場所に。

エンディングノートを書くコツ

エンディングノートを書くコツは次のとおりです。①一気に書かない:少しずつ、定期的に更新、人生は変わるので年に1回見直し。②家族にノートの存在を伝える:保管場所を必ず家族に教える、見つけられないと意味がない。③パスワードの直書き避け:エンディングノートに直接書かず、別途パスワード帳を準備、ノートには保管場所のみ記載。④文章は簡潔に:箇条書き活用、長文より短文を意識、家族が読みやすい構成。⑤市販テンプレート活用:ゼロから作るのは大変、市販ノートを使って必要部分を埋める。⑥定期的な情報更新:銀行口座・住所・連絡先は変わる、年1回の更新が現実的。⑦感情的な内容も大切に:単なる事務情報だけでなく、家族へのメッセージや感謝を含める。⑧写真も併用:思い出の写真や好きだった場所の写真を貼り付けると、より個性的な記録に。

エンディングノートを実際に書き始めると、多くの方が「自分の人生を振り返る楽しい時間になった」とおっしゃいます。私自身も両親に勧めて市販のエンディングノートを贈った時、最初は「縁起でもない」と渋っていた父が、半年後には「書いてみたら昔のことを色々思い出して、母さんと話す機会が増えた」と笑顔で話してくれました。エンディングノートは「死の準備」ではなく「人生の振り返りツール」です。一方、注意したい落とし穴は、「書いて満足してしまう」ことです。家族に存在を伝えていないエンディングノートは、せっかく書いても発見されずに終わってしまいます。書き終えたら必ず、配偶者・子ども・信頼できる第三者に「エンディングノートをここに保管している」と伝えてください。可能なら、定期的にノートを開いて家族と一緒に内容を確認する習慣を作ると、家族のコミュニケーションも深まります。

— お墓さがし.jp 編集長 / 中村 千鶴

✍️ 執筆:中村 千鶴 / お墓さがし.jp 編集長|元新聞社生活文化部記者→ライフエンディング業界専門誌編集デスク

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