墓じまい

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墓じまいとは

墓じまいとは、現在のお墓を撤去し、その遺骨を別の方法で供養することを指します。「お墓を閉じる」「墓を解体する」とも表現され、改葬の一形態として、近年急増している現象です。厚生労働省の改葬統計によれば、墓じまいを含む改葬は2010年の年間7万件から2020年代には年間13万件超へと約2倍に増加しました。背景には、(1)少子化による後継者不在、(2)地方の過疎化と墓地の遠方化、(3)核家族化と価値観の変化、(4)経済的負担の重さ、があります。墓じまいは「家族の歴史の節目」となる重要な決断であり、慎重な検討と十分な準備が必要です。

墓じまいの主な手順

墓じまいの主な手順は次のとおりです。①親族への相談:本家・分家・遠縁を含む合意形成、最も重要なステップで数ヶ月〜数年かかることも。②新しい納骨先の決定:永代供養墓、合祀墓樹木葬納骨堂、海洋散骨など、家族の合意で選択。③現墓地・寺院への申し出:墓じまいの意向を伝え、必要書類を揃える、特に寺院墓地は丁寧な対話が必要。④改葬許可証の取得:現在の墓地がある市区町村役所で発行、無料〜300円。⑤閉眼供養(魂抜き):現在の墓で行う仏式の法要、お布施3〜10万円。⑥墓石撤去工事:石材店による撤去、基礎まで完全に撤去、30〜100万円。⑦遺骨の移送:取り出した遺骨を新しい納骨先へ。⑧開眼供養と新規納骨:新しい墓での法要と納骨。

墓じまいの費用相場

墓じまいの費用相場は次のとおりです。①墓石撤去工事:30〜100万円、区画の広さ・墓石の大きさ・立地条件で変動。坂道の上やアクセス困難な場所はさらに高くなる。②閉眼供養のお布施:3〜10万円、寺院との関係性により慣例的な相場。③離檀料:5〜30万円、寺院墓地からの離脱時、強制ではないが慣習として支払われることが多い。④行政手続き費用:無料〜数百円、改葬許可申請の手数料。⑤遺骨移送費:1〜3万円、自家用車・郵送・葬儀社依頼で異なる。⑥新しい納骨先:永代供養墓5〜30万円、合祀墓5〜20万円、樹木葬30〜80万円。⑦総額:50〜200万円が中心レンジ、永代供養への切替で抑えやすい。

墓じまいで失敗しないためのポイント

墓じまいで失敗しないためのポイントは次のとおりです。①親族の合意を最優先:特に長男・本家筋の理解、急がず時間をかける、感情面に寄り添う。②寺院との関係維持:突然「墓じまいします」と通告するのではなく、相談から始める、長年の感謝を伝える。③離檀料は対話で決める:法的根拠はないが慣習、適正範囲(5〜30万円)を理解した上で交渉。④信頼できる石材店:複数業者の見積もり、極端に安い業者は要注意(不法投棄リスク)。⑤遺骨の状態確認:古い遺骨は土に還っている場合あり、想定外の状況に備える。⑥書類の保管:改葬許可証、離檀の合意書面、写真記録などを保管。⑦専門家への相談:行政書士・終活カウンセラー・FPへの相談で全体像が整理される。⑧家族の心情ケア:「先祖を粗末にする」という罪悪感への配慮。

墓じまいで最も多く相談を受けるのは、「離檀料」についてのトラブルです。寺院から想定外の高額(100万円以上)を請求されたという相談を、編集部にも年に数十件いただきます。離檀料は法的義務ではありませんが、長年の檀家関係を解消する際の慣習として、5〜30万円が一般的な相場です。それを大きく超える金額を請求されたら、まずは寺院と直接対話し、それでも折り合わない場合は行政書士・弁護士への相談をお勧めします。一方、私が大切にしているのは、寺院の側にも「檀家が減ると経営が困難になる」という現実的な事情があるという視点です。離檀料の交渉は、単なる金銭の話ではなく、長年の関係への感謝と、お互いの立場への理解の上で行うものです。「揉める前に丁寧な対話」が、墓じまいを後悔のない選択にする鍵だと、500件超の取材を通じて確信しています。

— お墓さがし.jp 編集長 / 中村 千鶴

✍️ 執筆:中村 千鶴 / お墓さがし.jp 編集長|元新聞社生活文化部記者→ライフエンディング業界専門誌編集デスク

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